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「シェイクスピア様ご乱心」終演 |
こんにちハッピーターン。ハッピーパウダーが喉に絡みますね。
主宰です。
突然ですが、今回の公演で、芝居をやめることを考えていました。
それか、「劇団きのこの森」としての公演を終わりにするか。
または、「劇団きのこの森」という名前を変えるか。
何故かというと
集客が不安だったからです。
思わせぶりな書き出しから、身も蓋もない結論に至ってしまいました。
前回公演が終わったあと、早々に新生館シアターをおさえました。
とにかく前回公演が楽しかったので、1日でも長く劇場にいたいと思い、11日間もとってしまいました。
また、学生最後の公演なので、今まで毎回全公演満席になるので観れなかった方や、日程の都合で観れなかった方にもみてほしいという気持ちもありました。
公演数は13回。
一応、7ステージだった前回公演と同じ集客数であれば、ギリッギリどうにかなるような予算組みにはしていたので、自分の中では無謀なつもりはありませんでした。
しかし、何がきっかけかは忘れてしまいましたが…学生最後と思ったからでしょうか。
どうせなら、お金に糸目はつけず、いいものをつくりたい。
と、思い、予算がどんどん膨れ上がり、気づいたらちょっと笑えないことになっていました。
宣伝にも凝りたかったのですが、卒論だの他の脚本だのに追われてギリギリに。
そもそも赤字覚悟で始めた企画ではありましたが、自分のキャパシティをはるかに超える負債がのしかかりそうで、怖くなってしまったのです。
毎日脚本を書くこと、考えることにも追われて、精神的にも参っていたのでしょう。
もう…これで解散って宣伝で…人呼ぶか…
そもそも…なんで13ステもやることにしたんだ…
今までは満席が当たり前みたいになってたけど…いざお客さんが来ないかもしれないと思うと…
なんでこんなことやってんだろう…
と、悩んでいる時間もそう多くはとれませんでした。
もうキャストもスタッフも集まっています。
ないのは戯曲だけ。
私は普段、綿密にプロットを作り込み、どんでん返しや仕掛けをふんだんに盛り込んだ戯曲を書くことを目指しています。
ページ数単位で物語の盛り上がりを計算し、脚本のハウツー本のお手本にできるだけ近づくように書いていました。
しかし、今回はとにかく時間がない。
そこで、高校二年生の時から封印していた方法を使うことにしました。
とにかくリスキーな方法です。
「思いついた面白いシーンを2時間分書けば、面白い芝居ができる」
暴論ここに極まれり。
最高級食材をなりふり構わず鍋にぶちこんだところで、おいしい料理ができるでしょうか。
何より、このやり方だと、後半になるにつれて収拾がつかなくなり、完全に破綻していると気づいた時にはもう本番直前。なんてことにもなりかねません。
それでも、スケジュール管理が甘く、ダラダラ書いてたせいで追い詰められていた私には、それにすがるしかありませんでした。
救ってくれたのは、キャストとスタッフです。
今回、初めて全員一度は芝居で関わったことのある人たちでした。
だからこそ、「この人にはこれをやってほしい」「これをやってくれればきっと面白いぞ」という気持ちが明白にあり、それらを一つ一つ書くことで脚本の空白が埋まってゆきました。
そもそも、そんな考えが起きるのは、キャスト、スタッフがひとりひとり魅力的だからです。
「キャスト、スタッフ全員が輝いていれば、作品全体が輝く」
という考えですね。
これも中々の暴論です。
トリュフとフォアグラとキャビアを大量に並べられて、ありがたがれるでしょうか。それぞれの魅力は生きるでしょうか。
こうした無茶苦茶な考えが積み重なって積み重なった結果
いつの間にか、少なくとも私にとっては、どうにかして人に観てほしいと思える作品になっていました。
正直、謎です。
他にも散々無茶なことをしています。登場人物の性格だけで行動させるとか、スジを考えず、人間の内面を描いてみるとか。
これだけ無茶苦茶やって、なぜか成立したのです。
やめると言ってチケット売ろうとか、そんなこと考えていたことがバカバカしくなりました。
とにかく観てほしい。
面白いから。という理由もありますが、様々なものをひっくるめて、とにかく観てほしかった。
それは、この公演に関わった皆がそうだったと思います。
一人、またひとりとチケットの予約が増え、最終的に、597名のお客様がご来場くださいました。
597名といっても、それは、597の「ひとり」が積み重なった結果です。
キャストだけでなく、スタッフもいろんな人に宣伝してくれました。
小劇場は身内で回していると、よく言われます。
しかし私は、よほどの自信がなければ、身内を呼べません。
大切な人に、つまらない思いをさせたくありませんから。
本当に素晴らしい作品とは、集客が多い作品でも、偉い人が唸る作品でも、お金のかかった芝居でもなく、
大切な人に観に来てほしい作品
だと、私は思うのです。
キャストの人たちから、遠くから親戚が来てくれること、昔からの友人が来ることなどをちょくちょく聞きました
そんな大切な人たちに、自信の持てない作品を見せられるでしょうか。
一日考えましたが、稽古が毎日楽しく、脚本も間違いなく今まで以上のクオリティで、作品の出来に大きな手応えを感じ、それがお客様の数として目に見える形になり、お客様のひとりひとりの反響から確かな手応えを感じる。
その理由が、やっぱりよくわかりません。
ただし、今回、演劇を始めてから、初めてあることをしました。
全員揃っての集合写真です。
一人でも欠けていれば、この芝居は間違いなく成り立っていません。
それが、答えなのかもしれません。
この度は、ご来場まことにありがとうございました。
それでは、また次回。
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